時代は変わってもボブ・ディランはヒーロー。「BOB DYLAN/MTV UNPLUGED」

1963年の「風に吹かれて」や翌64年の「時代は変わる」で時代の寵児となったボブ・ディラン。65年の「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」で大胆なエレキサウンドを取り入れ物議をかもしたものの続く「追憶のハイウェイ」「ブロンド・オン・ブロンド」の大成功で世界的ロックスターの座を動かぬものとしました。70年代もそのままの勢いで話題作を発表し続け、21世紀に入ってもプラチナディスクを生み出し続けています。その間もちろん数々のコンサートツアーを成功させ、多くの聴衆を魅了し続けてきました。

1995年、当時ブームを巻き起こしていたアメリカのテレビ番組「MTVアンプラグド」に出演したボブ・ディランのパフォーマンスから12曲をセレクトし収録したのがこのアルバム「MTV UNPLUGED」です。

アルバムは「追憶のハイウェイ」に収録された軽快な「トゥームストーン・ブルース」で幕を開けます。3曲目の「見張塔からずっと」はジミ・ヘンドリックスのカバーですが、ディランはアルバムやコンサートでもこの曲を度々取り上げています。

4曲目は代表曲の一つである「時代は変わる」。初期の曲ですがここでのディランの歌声はみずみずしく、時代を感じさせない歌唱です。その他映画「ビリー・ザ・キッド」の主題歌として作られ後にエリック・クラプトンのカバーでも大ヒットした「天国への扉」、ディラン最大のヒット曲である「ライク・ア・ローリングストーン」といった名曲の数々が収められています。

バンドはディランのボーカル&ギターの他にギター、ペダルスティールギター、ベース、オルガン、ドラムというシンプルな編成。飾りの無いストレートな演奏でディランの名曲の数々を再現しています。ディラン自身も若い頃とは違うものの、長年のステージで磨き上げられてきた味わい深い歌声を聞かせてくれます。

1941年生まれのボブ・ディラン54歳の時のライブ作品ですが、その歌声は全く衰えず、またこのアルバム以降も精力的に作品を発表し続けており、その創作意欲も衰えていません。

ディランの魅力というと、多くのファンは歌詞だと言います。でも私はディランの本当の魅力は、メロディメーカーとしての才能、そしてそれを表現する才能だと思います。確かに時代は変わります。しかしディランの創造力は変わらず、そして時代はいつもボブ・ディランを求め続けているのです。