田中勝則プロデュースによるサンバの名盤「サンバ・エ・イスト 2」

リオのカーニバルに出場するサンバチームの事をエスコーラ・ジ・サンバ、サンバ学校と言います。多くのエスコーラはファベーラと言われる貧民街に本拠地を置き、地域のコミュニティとしての役割も果たしています。そんなエスコーラの中でもマンゲイラとポルテーラという伝統あるチームにスポットを当てて編集されたのがこのアルバムです。

プロデューサーの田中勝則氏は1980年代後半からリオのファベーラに通い、現地のミュージシャン達と交流を深めると共に、彼らを集めてレコーディングをしました。その中から20曲を田中氏自身がセレクトしました。

サンバと言ってもここに収められている演奏はカーニバルの派手なサウンドとは異なり、ファベーラの日常により近い彼らの普段着のサンバ。こんな素敵な音楽が街に溢れているなんて、なんとも羨ましい限りです。

アルバムはマンゲイラの名作曲家ネルソン・サルジェントによる「マイゲイラの魅惑」で幕を開けます。軽快なイントロに続いて聞こえてくるネルソン自身の味わいある歌声。カーニバルのサンバとは全く違った趣です。

2曲目も同じくネルソン・サルジェントの作品。ここではマンゲイラの先輩作曲家カルトーラの曲のタイトルを並べて詞を作っています。ネルソンはカルトーラのことを語る時は涙を流すと言います。そんな彼のカルトーラ愛が詰まった1曲。サンバってこんなに味わい深いものなんです。

8曲目に収められたのはネルソン・カヴァキーニョとギリェルミ・ジ・ブリートの共作による「枯葉のサンバ」。サンバの女王ベッチ・カルヴァーリョの歌唱で有名な曲ですが、ここでは作者であるギリェルミの歌声で楽しむことが出来ます。ネルソン・カヴァキーニョとギリェルミはコンビで数多くのヒット曲を生みだしており、このアルバムにも全部で3曲このコンビの曲を聴くことが出来ます。

11曲目まではマンゲイラに縁のある曲が続き、12曲目からはポルテーラです。12曲目の「パウロからパウリーニョへ」はポルテーラを代表するアーティスト、モナルコの作品。ポルテーラを育てた名リーダー、パウロ・ダ・ポルテーラとリオ・オリンピック開会式でブラジル国歌を歌ったパウリーニョ・ダ・ヴィオラを讃えた曲です。

13曲目以降はパウロ・ダ・ポルテーラの作品を中心にポルテーラに縁のある楽曲を収めています。そして最後は再びマンゲイラに戻ってネルソン・サルジェントの「サンバは死なず」。サンバの女王ベッチ・カルヴァーリョの歌声が楽しめます。

リオのサンバを育ててきた偉大なるアーティストたちの楽曲をまとめて楽しめる、音楽としてのサンバをしっかりと楽しめるアルバムとなっています。